コラム

流れることが本能? 大河を象徴する十干・壬(みずのえ)とは

10月8日より壬戌(みずのえ・いぬ)月に入りました。先週は地支の戌について解説しましたので、今週は天干の壬(みずのえ)についてのお話をさせていただきます。

壬は「じん」とも読み、「任」または「妊」であり、万物が養われるという意味があります。

すなわち、陰気が極まって陽気が生じ、この陽気によって万物をはらみ始めるということです。新たな種子が固い殻の中に次へとつなぐ命を育んでいる状態です。ここから壬には「懐妊」「妊娠」の意味も付随します。

壬(みずのえ)は、木火土金水の5つのエレメントでは水に該当します。

水の五行は、陽の壬と陰の癸(みずのと)から成ります。壬は大河で、癸は雨を象徴します。

壬は大河ですから、水の勢いによって運が左右されます。

そんな壬にとってまず大切なことは、水の流れがせき止められないことです。これを五行周流(ごぎょうしゅうりゅう)といいます。

日干(自分自身を象徴する五行)が壬の人は、流れることが本能で停滞を嫌う大河の気質を持つことにより、自由闊達、伸び伸び動き回るという気質に加えて、人あたりが柔らかくしなやか、悪く言えば人によってはへつらう態度を見せる傾向も出てきます。反面、壬は「任」の漢字を派生することから、人生において「責任を負う」「任務を受ける」場面に直面することも少なくないでしょう。

壬の天敵は、畑の土である己(つちのと)です。畑の土が河の水を汚してしまうからです。これを濁壬(だくじん)といいます。己の側から見ても、畑の土に河の水が入ってくると、土が泥になり土壌がめちゃめちゃになり野菜が育てられなくなります。ということで壬と己は互いに嫌い合う関係です。

対して、壬を求める五行は火の五行である丙(ひのえ)です。丙は太陽です。以前のコラムでも触れましたが、太陽の光加減をコントロールしてくれるのが壬です。太陽は直接見るのは眩しすぎて難しいです。そんな太陽の猛烈さを調節し、魅力を高めてくれるのが壬なのです。河面に太陽の光が反射してキラキラ輝いている様を想像してください。

壬はせき止められることを嫌いますが、河川が増水しすぎると洪水になりますので逆に問題です。その場合、陽土である戊(つちのえ)が洪水を防ぐ堤防の役割を果たします。

以上、ややざっくりでしたが壬の解説をさせていただきました。

このコラムではあくまで陰陽五行説にまつわる類型的な事象を取り上げるのみにとどめています。個人の性格や運勢傾向は、その人の命式上の五行バランスをしっかり見なければ何とも言えません。

もし興味をお持ちになりましたら、鑑定をご依頼ください。

関連記事

TOP